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2004/09/27

マスコミが知らないiモード秘話---2XXシリーズと5XXシリーズ誕生の真相

10年近い付き合いがあるAさんから、以前、こんな話を聞いた。

「ドコモに5XXシリーズと2XXシリーズがある理由を知っていますか?」

Aさんは通信関係の技術者で、携帯電話業界にも非常に詳しい。

「今は違いがないけど、元々は通信機能優先の2XXシリーズが先に出て、
iモードサービス開始に合わせて、データ通信仕様の5XXシリーズが
出たんですよね?」

と、私が答えると、

「大体、合っていますね。
でも、ドコモに5XXシリーズと2XXシリーズが存在する本当の理由は別にあったんです。」

と思わせぶりな口ぶり。

「ここだけの話だけど...」

声を潜めて話を続けた。


「2つのシリーズは、実はドコモ社内の内部対立の結果、生まれたもの
なんです。」

Aさんの話は、次のようなものであった。


・1990年代後半、ドコモ社内には、音声通信部門とDoPa(ドゥーパ)
 部門があった。

 ※DoPa(ドゥーパ)とはNTTドコモが提供しているパケット通信方式
  のデータ通信サービスである。通話時間ではなく、データ量に応じて
  課金される。

・当時、DoPa部門は思うような収益を上げておらず、社内でも肩身の狭い
 状況だった。平たく言えば、「不採算部門」と見られていた。

そして、「iモード」が、DoPa部門の新規事業として企画される。
当然、iモード端末を作るにあたって、既に携帯電話端末の実績があった
音声通信部門の協力を求めた。

しかし、ただでさえ忙しい音声通信部門には、不採算部門であったDoPa部門
の支援をすることに冷淡であった。
事実上、協力を拒否。

やむなく、DoPa部門は、独力で端末を開発することとなった。

幸い端末メーカーの協力を得て、1999年2月に最初のiモード端末「501シリー
ズ」が発売された。

これが「5XXシリーズ」の誕生の経緯である。

その後のiモードの爆発的な普及は、みなさんもよくご存じだと思う。
参考までに、推移を記しておく。


1999年 2月 iモードスタート

1999年 4月 加入者 10万件突破

1999年 6月 加入者 50万件突破

1999年 8月 加入者100万件突破

当時を知る身には、あの頃のドコモは破竹の勢いであった。

ここまで来れば、iモードの成功は疑いようもない。
普通なら、この成功を受けて音声通信部門も協力して、よりよい端末開発に
動くはずである。

でも、動かなかった、のである。
SONY本体 VS SCEのプレステを巡る一件(別の機会に書きます)に代表され
るように技術者同士のひがみやメンツの問題もあったと思われる。

こうなると、どの時点まで音声通信部門が意地を張ったのかが気になる。

最初のiモード機能搭載の2XXシリーズである「209シリーズ」が発売された
のが、2000年6月。

おそらく、


1999年10月 加入者200万件突破

1999年12月 加入者300万件突破


くらいのタイミングで「もはやこれまで」と判断して、開発に着手したと考え
ている。

iモード立ち上げまでの苦労を描いた、松永真理さんの著書「iモード事件」

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この本がサービス面から描いた「プロジェクトX」的なネタなら、この話は、
ハードウェア面から描いた「『裏』プロジェクトX」的なネタになりそうで
ある。

【あとがき】

この話をAさんから聞いてから、3・4年が経ちます。
ヤバ目の話でうが、そろそろ「時効」だと思って、公開させていただきました。

古い記憶に基づいて書いているので、より詳しい真相をご存じ方は、ぜひ情報を
お願いします。

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