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2004/11/15

DVDレコーダーのCMカット機能が「著作権法違反」?

先日の朝日新聞の記事の記事によると、DVDレコーダーのCMカット機能が、なんと「著作権法違反」になるらしい。

この摩訶不思議な説を開陳したのは、民放連の日枝会長フジテレビ会長)である。

記事を読むと、

「放送は1時間すべてが著作物と考える学者もいる。いろんな問題を含んでいる」

と語ったらしい。

確かに放送されている番組とCMが密接不可分で、作品として一体化しているのであれば、著作権法にある「同一性保持権」の侵害にあたるかも知れない。
その部分においては、日枝会長の引用した「学説」「正しい」と思う。

ただ、それは主に作品を商業利用など公に展示、上映、配信する時について問題になることであり、個人で録画視聴するものについて、

「録画で見る時もCMを必ず見るように!」

などと言うのは、スジ違いというもの。

「著作権法」を振りかざして、メーカーに圧力をかけるのも結構ですが、それを視聴者に強制したが最後、「民主主義の破壊」といった「大罪」が待っております。

憲法19条に代表される、「思想・信条の自由」ってヤツです。見たくないもの、信じたくないものを、強制的に見せられたり、信じさせられたりしない権利です。

人類が勝ち取った崇高な権利ですから、(かなり)オーバーに言えば、日枝会長の発言は、民主主義への挑戦ともいえます。

日本民間放送連盟会長という、言ってみれば、著作権と民主主義について誰より
も熟知しているはずの人から、この程度の発言しか聞かれないことに、この国の
コンテンツビジネスとジャーナリズムの耐えられないほどの底の浅さを感じます。

自分は、CMカット機能付き、DVDレコーダーの普及とともに、日枝会長(=民放)が憂慮した事態は(彼らがあがこうと)最終的には避けられないと思う。

すでにアメリカでは、CMカット機能が普及した結果、企業は見られなくなったテレビCMのウエイトを下げてしまったと聞く。

それに替わって採用されたのが、次のようなものである。

プロダクトプレイスメント

プロダクトプレイスメントとは、CMとして流さないで自社の製品やサービスを、番組や映画の中に露出させる宣伝手法です。

某パソコンメーカーが、ある情報番組(メーカー名も番組名も知っていますが、ここで書くと消されるので、やめときます)で、キャスターの後ろに1週間パソコンを置いてもらうだけで1,000万払った、という話もあります。(たぶん、キャスターの後ろに映っているパソコンなんて、誰も覚えちゃいないのでしょうけど。)

あとは、ある映画でトム・クルーズが地下街を歩いていると、やたらと柱や壁にポスターやら何やらの広告が出てくる、というのもプロダクトプレイスメントだったと聞きます。

韓国でも盛んな手法で、先日、行き過ぎが当局のお咎めを受け、責任者が処罰されちゃいました。

OOH(Out Of Homemedia)

こう言うと、何だか最新の宣伝手法っぽく感じますが、早い話が「交通広告」「屋外広告」といった非常に伝統的なものです。(アルファベット3文字で語られるキーワードなんて、その程度なモンです。

駅の広告電車・バスの中吊り、繁華街のビルに設置された巨大スクリーンといったところが、その代表です。

自分は、広告業界の人間ではないので、この程度しか知りませんが、「テレビCMの次」を狙った宣伝手法は他にもたくさんあるはずです。

民放業界が、このまま既得権に固執し続けるか、アメリカや韓国のように新しい手法を積極的に開発・採用していくのか?

許認可に守られた上で成立する、テレビCM依存というビジネスモデルに安閑とし、ぬるま湯で生きてきた民放各社が、自ら新しい道を開拓できるか、と考えると自分は疑問を感じます。

立ち上がりの遅さにつけ込んで、新興メディアが彼らのテリトリーや市場を荒らすことが起こると思っている。

日本のテレビCMの規模は、約2兆円
広告市場全体の1/4を占める巨大市場である。
今までは、許認可や既得権でガチガチに守られていたが、この市場の一部が、オープンになるのだから、それに目をつけない方がおかしい

CMカット機能付きDVDレコーダーが残るのか、それともカット機能付きビデオのように骨抜きにされるのか?

どちらかに転ぶかによって、日本のメディアの様相が一転する可能性を秘めている。

今後の行方が非常に楽しみである。

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