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2008/04/23

あるスタジアムの話

ある地方に野球場があった。
スタジアムには、大勢の人が集まるので、いくつのも企業がスコアボードやフェンスに広告を出してくれた。
黒い壁にペンキで書いただけでお金をもらえるので、スタジアムの経営者は、

「これはおいしい商売だ!利益率も高いので、とにかく進めろ!」

と夢中になった。

ベンチやバックスクリーン、両翼のポール、挙げ句は、ボールボーイのユニフォームにまで広告を付けた。
スタジアムの中に広告を入れるスペースが無くなると、試合にまで企業名を冠した「○○シリーズ」というものまで始めた。

しかし、人気のあるプロ野球チームを呼ぶと、客は来るがお金もかかる。
経営者は、

「コストを下げろ!」

と従業員に檄を飛ばす。

社長が恐いマネージャーたちは、「コストパフォーマンス重視」を大義名分にギャラが安い独立リーグを呼んだ。
当然、客足は落ち、入場料収入も減ってしまった。

「観客が増えないから、広告を増やすしかない!」

ついにスタジアムの命名権を売却した。

球場の運営には、一定のお金が出て行くもの。
ついにその固定費ギリギリまで収入が落ちてしまった。

「スタジアムの設備が悪いからだ。イスや設備を最高級のものにすれば、客足は戻るはずだ。」

外野の設備担当者は、外野芝生席全面に最高級のペルシャじゅうたんを敷いた。
内野の設備担当者は、漆塗りのイスを並べた。

それでも客足は戻らない。

「どうしてだ?これだけ球場の設備を整備したのに、なぜ客が来ない!」

経営陣は、各部門の担当マネージャーを呼び出しては、怒鳴りつけた。

そして、さらにコストを下げるため、独立リーグを切って、大学野球チームを呼ぶことにした。
すると、また客足は落ち、今度は、高校野球チームへ。
さらに売り上げが下がると、最後には少年野球チームになった。

ついに、固定費すら回収出来なくなってしまった。

そこで、経営陣は頭を突き合わせて、このスタジアムの経営不振の原因と対策を考えた。
休日を何度も何度もつぶして考えた。
そして、最後にこんな結論を導き出した。

「野球チームを呼ぶとお金がかかるから、呼ぶのをやめてしまおう!
利益率が高い広告だけをやればいいではないか!」

そこには、スタジアムに入っている観客について考える者はなく、企業が広告を出す理由を理解している者もいなかった。

従業員の1人は、魅力あるチームや選手を連れて来ようと、昨夏、渡米してメジャーリーグとのコネクションを作って来た。
しかし、この状況において、それが活かされる日は来るのだろうか?


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