2010年度は海外ドラマが来る!そのカギはNHKとTBS
4月に入り、2010年度がスタートしました。
テレビも春の特番が落ち着き、新番組が動き出しました。
今年度は、「海外ドラマが来る!」と予想しています。
さらにそのカギを握るのは、NHKとTBSと見ています。
ここで言う海外ドラマとは、韓流や中国などのアジア系ではなく、欧米系のものを指します。
『24』や『LOST』、『プリズン・ブレイク』など、CSや民放の深夜、レンタルを中心に日本のドラマに飽き足らないファンの支持を得て来ました。
昨年秋からの動きを見ると、これからもっと広がりそうな雰囲気があります。
景気の低迷による広告収入が低下した民放が番組製作費を削減しまくっています。
コストのかかるドラマ制作を減らして、衣装やセットがいらないバラエティ番組へシフトしたり、編集費用を減らすため、生放送を増やしたりしています。
残ったドラマもリスクのあるオリジナルよりも、実績のある原作モノが中心になっています。
この流れが進むと、自社制作よりは、海外である程度、視聴率が取れたドラマの放送権を買って流すことも、今後増えて来るでしょう。
TBSがゴールデンタイムに韓流ドラマ『アイリス』を流すのもその例です。
今後、そうした海外版権モノのメインが、欧米系の海外ドラマになると見ています。
まずは、ここ数年の海外ドラマの広がりです。
最近でこそ少なくなりましたが、テレビ草創期は、海外ドラマが柱になっていましたし、その後しばらくは、有力なコンテンツだったので、潜在的な基礎票はあります。
そこにBS、CS、レンタルなどで視聴出来る手段が増え、国内で見られる作品数も多くなり、新しいファン層を広げて来ました。それでも、まだニッチなマニア向けのものというイメージがありました。
それを変えたのは、フジテレビの『ターミネーター サラ・コナー クロニクルズ』です。
土曜日の深夜11時台の放送にも関わらず、10%近い視聴率を獲得。普通の人たちが、「海外ドラマもおもしろい」という認識を持ったでしょうし、これで業界内にも「海外ドラマで数字が取れる」ということがわかったはずです。
では、なぜ海外ドラマが来るカギがフジテレビではなく、NHKとTBSなのか?
その理由を述べたいと思います。
まずは、NHK。
今夜から、NHKで『ビバリーヒルズ高校白書』『ビバリーヒルズ青春白書』の続編となる『新ビバリーヒルズ青春白書』がスタートします。
『ビバリーヒルズ高校白書』『ビバリーヒルズ青春白書』は、10年以上前にNHKで放送されて、大ヒットした作品です。(なだき武と友近の「ディラン&キャサリン」の元ネタです)
現代の環境に合わせて当時よりセレブ度がアップしていたり、仲間みんなで問題を解決するというよりは、もっと小さな単位で解決するみたいな形に変わっていたりしていますが、すっかり親世代になった旧作の登場人物がちゃんと出ていたり(「ピーチピット」のナットさんも出て来ます)、昔からのファンも楽しめる作りになっています。
これが結構、良い出来なので、旧作に夢中になった世代が間違いなく食いついて来ますし、彼らが海外ドラマに戻るきっかけになるでしょう。それくらいの力があります。
全国ネットのNHKが放送するという影響力も無視できません。
(余談ですが、旧作でドナ、デイビッド、ケリーが住んでいたビーチアパートが売りに出されているそうです。詳細はこちらをご覧ください。)
これがNHKを挙げる理由です。
そして、TBS。
広告費削減のインパクトを受け、民放で最も迷走しているのが、TBSです。
この記事の冒頭に挙げた例を一番極端に進めて、やる度に事態が確実に悪化しています。
たぶん、制作現場よりも本社の中にいる「かしこい人」が強くなっているんでしょうね。
このブログでさんざん批難しているExcelシートだけで考えている人の思考パターンが透けて見えます。
他社の成功事例の焼き直し、徹底的にリスクを取らない姿勢、コストだけしか考えない番組制作。検討に時間がかかったり、成功事例が出るまで動かないから、周回遅れのタイミングでしか出せない。
「『宮廷女官チャングムの誓い』を平日の朝にやる」と聞いた時には、「ここまでズレて来たか?」と驚き、嘆いたものです。
NHKでヒットしたものの再放送。それも何年も経っているのに、自分たちで付加価値を付けた形跡もありません。(赤坂サカスのイベント館やミニ番組が付加価値というなら、それで終わってます。)間違いなく、「韓流なら主婦層が見るだろう」「NHKでヒットしたから、ある程度の数字が取れる」「何回も流れて版権も安くなっているから、費用対効果も高い」といった理由でしょう。
これだけボロクソに言っているTBSがなぜカギを握るのか?
『アイリス』も悪くない作品なのですが、ゴールデンで期待されている数字を叩き出せるか、ちょっと疑問です。
相当高い金額で買って来たはずなので、期待値も高いでしょう。
これがコケた時、TBSは、『ターミネーター サラ・コナー クロニクルズ』の成功事例を引っ張りだし、「次は海外ドラマだ!」と思うと読んでいます。
他人が作った事例に合わせて、他から別タイトルを買ってくれば、ビジネスモデル上は、上手くいくはずですから、「かしこい人」には、非常に受け入れやすい考えです。
稟議書スタンプラリーも順調に進むでしょう。この時にNHKの『新ビバリーヒルズ青春白書』でも「成功事例」が出来ていれば、あっという間です(笑)。
TBSが、海外ドラマで迷走を続けるたびに、いい時間帯で海外ドラマが出て来るでしょうし、その都度ガンガン番宣をやるはずなので、アナウンス効果は大きい。
上手くいけば、その中でヒットが出るでしょう。
でも、「じゃ、ウチでも」と軽くやってみたテレビ朝日あたりで、ヒットが出そうな気がします。
TBSは、作品の本質じゃなく、今は表面的なものしか見ていないですからね。
さて、この予想が当たるか否か?
これからのNHKとTBSの動きにご注目ください。
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