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2010/10/31

電子書籍狂騒曲

iPhoneやAndroid携帯といったスマートフォン、iPadやKindleなどのタブレット端末の普及を背景にここに来て一挙に電子書籍が話題になっています。

中には、「自炊」と称して、自分で紙の本を裁断してスキャナーで電子化している人もいるそうです。

FUJITSU ScanSnap S1500 FI-S1500
(「自炊」の方たちの御用達 富士通のScanSnap S1500)

電子書籍は、在庫を持たないし、流通も省けるので、安く流通出来るし、著者への印税も厚く出来るといいます。

Amazonは、Kindleで印税70%(実際は色々条件があって、満額取れるわけじゃないそうですが)という好条件を引っ提げ、その他、アップルやGoogleといった外資系が続々とやって来ています。

さらに、これだけの状況にありながら、講談社が、電子書籍の印税15%という空気の読めない契約書を著者に示しているというニュースも入って来ています。
これだけの状況にもかかわらず、依然として、既得権を維持し続けようとする意図が見え見えです。

この様子だと、国内勢はこの分野でも苦戦を強いられそうです。

さて、この電子書籍ですが、外資企業やマスコミが言う通り、本当に消費者にも著者にもいいことばかりなのでしょうか?

著者が書いた本がそのままの形で出ることは極めてまれです。
作品の構想や内容について、著者といっしょになって作り上げて行く「編集」、出来上がった文章をチェックする「校正」、どうやって売り出していくかを考える「宣伝」、どのようなものが求められているかを調査して、考える「企画」、その他たくさんの人の手が加わって、金を出すに値する「商品」となるのです。
作家を発掘し、育てるのも出版社の大切な機能です。

こうしたことを捨象して、著者や完成した作品やだけにスポットを当てて、騒ぎ立てるのは、どうかと思います。
今、完成した作家はいいでしょう。

でも、これからはどうでしょうか?
これまで出版社が担ってきた機能を誰かがやってくれなければ、その質は、著しく劣化していくのではないかと思います。
そして、結果として、市場も縮小していくでしょう。
その過程で「デジタル化による若者のコミック離れ」みたいなニュースも流れることでしょう。

自分は、恐らく音楽のように、作家をマネージメントし、プロデュースする、プロダクションみたいなところが出てくるか、出版社もそのような形に変わらないといけなくなって来ると予想しています。

エイベックスやアップフロントグループみたいな形で作家を抱えて、出版、テレビ化、映画化を含めてトータルでやってしまうところも出てくるはずです。(自分は、それが成功のカギだと思っています。)
その最右翼が、既存の大手出版社のはずなのですが、既得権の維持に汲々として変われなければ、いずれその座は新興勢力に取って代わられるでしょう。

あとは、メディアの特性を忘れてはなりません。
電子書籍のフォーマットは、統一されたものではありませんし、そのフォーマットが永遠に続く保証はどこにもありません。
紙であれば、紙とインクの物理的な寿命が続く限り、1000年後でも2000年後でも見られます。
電子書籍のフォーマットの問題も考えておく必要があります。

最近の電子書籍狂騒曲とも言える報道を見るたびに、基本的なことを忘れているのではないかと思います。

人は、「たくさんの本を抱えなくてもいい」「場所を節約出来る」「欲しいときにすぐに手に入れられる」「検索が楽」といった機能を求めているのであって、「電子書籍を読みたい」のではないという、最も大きなポイントを忘れてしまっているように感じられるのです。

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