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2011/02/04

「死にたい」と思った時に読む本

死にたいと思った時に読む本。

刺激的なタイトルで申し訳ございません。

人生長く生きていると、辛くてどうしようもない時があります。
友達や家族の存在や、好きな音楽やスポーツ、あるいは酒の力。
そして、何より大きい時間の経過で助けられて、解決出来てしまうのがほとんどです。

「死にたい」と思っても、だいたい1年経ったら、その大部分は、原因が思い出せないはずですし、そんなことで悩んだことすら忘れてしまってます。

ただ、その時は、本気でそう思っているのは間違いありません。
出来るだけ早く冷静になり、気持ちを建て直さないと死なないまでも心に後遺症が残ってしまいます。

自分の場合、まずはこの言葉で冷静になります。

「あなたが空しく生きた今日は、
昨日死んでいった者が、あれほど生きたいと願った明日。」

(『カシコギ』 趙  昌仁)

それでも、ダメだったら、戦没学徒兵の遺書を集めた『きけわだつみのこえ』を読みます。
当時、大卒者は、「学士様」と言われていた時代。
大学は高等教育機関として、今よりもはるかに権威のある存在でした。
これら多くの優秀な才能が戦争で失われたわけですが、そうした方々の無念と国や故郷、家族や恋人に対する想いがつまった本です。

生きたかったのに、やりたいことはたくさんあったのに、戦争によって未来を絶たれてしまった彼らは、どれだけ無念だったでしょう。
それを思ったら、今の平和な世の中で「死にたい」などと一瞬でも浮かんだだけでも申し訳なくなってしまいます。

もうひとつは、これも同じジャンルですが、神坂次郎の『今日われ生きてあり』
こちらは、知覧基地から飛び立った特攻隊員たちの遺書や戦友、家族の証言を神坂氏が取材し、構成した作品。
1話につき、1人を取り上げていますが、電車の中で読んでいて何度も涙腺が決壊しそうになって、なかなか先に読み進めませんでした。

大石 清 伍長の話は、何度つっかえてしまったことか。
1945年3月13日の大阪大空襲で父を亡くし、そのショックと疲労で3月末に病気の母が亡くなる。
残ったのは、11歳の妹 静恵がただ一人。
自分が特攻で戦死したら、ひとりぼっちになってしまいます。
財産もなく、お父さんの収入だけで暮らしていたので生活費もありません。

「家族ノ生活ヲ保証スル方法ナキヤ」

上官の鎌本軍曹から第六航空軍本部に宛てた手紙。
無機質な文字の間からも人の心と置かれている状況の厳しさが伝わって来ます。

それでも大石伍長は、5月20日に出撃。
沖縄の海で散り、帰らぬ人になりました。
妹が作った特攻人形(マスコット)とともに。
このマスコット、普通は腰や落下傘の縛帯に結びつけるのですが、彼は、

「(敵艦に)突入する時、人形が怖がると可哀そう」

と背中に吊っていたそうです。

そして、最後に妹に宛てた手紙には、形見として、妹の名で預けた郵便通帳と判子を残したから、女学校に上がる時に使ってほしい。
また、時計と軍刀も送ったと書かれています。そして、この二つは、売ってお金に変えなさいと指示しています。
兄の形見などよりも、これからの妹の人生の方が大事だから、と。

なぜ二十歳そこそこでここまで潔く死ねるのでしょう?
幼い妹を残す不安もあったでしょう。
3月に両親を亡くし、それから2ヶ月後に自分まで死んでしまうのですから。
本当は生きたくて生きたくて仕方がなかったはずです。

大石伍長だけでなく、知覧基地から飛び立った431機462人の特攻隊員たちは全て。

こういう方々の犠牲があって、今、自分が生きているわけですから、「死にたい」なんて思ったら絶対にいけないと思うのです。

もし「死にたい」と思うことがあったら、ぜひ手に取ってみてください。
これにこだわる必要はありません。
生きたくても生きられなかった人。
その人たちの気持ちに接すれば、きっと「がんばらなきゃ」って思うはずですから。

P.S:実は、この日記、2009年9月25日に書いたまま公開されずに残っていた記事に、本の情報を最後に付記したもの。
当時何があったのか思い出せませんが、時間が経てば解決するものだなと改めて感じました。
これをきっかけにまた『今日われ生きてあり』を手に取ってみましたが、相変わらず泣けますね。
      

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神坂 次郎
新潮社
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