北大地震火山研究観測センター、「今冬M9クラスの地震が起こる」と警告した研究者のページを削除
最近、週刊誌で「今年12月から1月にかけて東北地方でM9クラスの地震が起こる可能性がある」という報道がありました。
これは、FM電波観測による地震予知研究をしている北海道大学地震火山研究観測センター 森谷武男さんの説です。
地震の前には、電磁波ノイズが大量に発生し、それが収まった数日後に地震が起こるということから予知につなげようとするものです。
震災の後に研究者や有志が集めている観測データを見ていると、その後、各地で発生した地震でも説を裏付けるような結果が出ていたので、注意して見ていました。
すると、週刊誌やネットの反響で、北海道大学地震火山研究観測センターは、リリースを発表。
「「地震に関連する電磁気現象の観測研究」として、地震の発生直前から電磁気異常を発生させるメカニズムとその関連性を解明する基礎的研究を実施して」いるが、「基礎的データを蓄積し研究を進めている段階」で「科学的に予測できる段階」にはないとして、「個人的見解とはいえ、現時点で科学的な根拠の薄い地震予測情報が公表され、特に東日本大震災の被災者のみなさまには、いたずらに不安を煽ってしまうような状況を生み出したことにつきまして、お詫び申し上げます」とバッサリと切り捨ててしまいました。
それどころか、北大内の森谷さんのサイト内の該当ページを削除。
個人ブログでの発表も禁じたといいます。
「あくまでも個人の見解であり、センターのものではない」と冒頭に大きな文字で書いた上で論を展開していたにも関わらずです。
もしかすると、トンデモ学説かも知れない。
しかし、研究者の研究発表をこういう形で消し去るのは、学問の府としてどうなのか?
これは研究者として、自殺行為ではないかと思います。
個人的には、東日本大震災での検証は非常に興味を持ちました。森谷さんは東北地方に観測地点が少なかったため、十分なデータが得られなかった(論文でも、もしデータがあれば…と悔いていましたが)ようですが、それでも「予知」が出来るのでは、と思わせる内容でした。
北大地震火山研究観測センターが森谷さんの研究結果を削除しても、データを観測している研究者や有志、団体はそれぞれデータを発表していますから、止めることは出来ません。
「外れて恥をかいてもかまわない。来ないに越したことはないが、来れば人命にかかわる」
として、森谷さんは冒頭の予測を発表したそうです。
不幸な予測は、当たらない方がいいのですが、もし当たってしまった時はどうするのでしょう?警戒していれば、救えた命や防げた被害が発生した時、北大地震火山研究観測センターは、どういう発言をするのか、非常に興味があります。
削除された森谷さんのページへの入口にこんなコメントが書かれています。
お詫び:地震火山研究観測センターでは,研究段階である地震予報情報は公表しておりません。そのため,センターの方針に準じて,当該ページも閉鎖します。センターの方針については,こちら(リンク:http://www.sci.hokudai.ac.jp/isv/news/post-52.html)をご覧ください。
このページは閉鎖されます.
現在も東北地方をはじめ日本中が地震活動が大変高い状態ですから強い地震に備えることは大変重要です.
「それでも地球は回る」と言ったガリレオのような無念さと研究者魂を感じます。
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