避けられなかった未来?破産したコダックは30年前にデジタル化を正確に予想していた!
アメリカのイーストマン・コダックが、18日夜に米連邦破産法第11条の適用を申請した。
このタイミングでこの記事を読んだ。
■瀕死のコダックと飛躍する富士フイルム
日米でフィルム市場を独占したフジとコダックに関する英エコノミスト誌の記事である。
収益を上げ続けるフジに倒産寸前のコダック。
その差はどこにあったのかについて分析した内容が興味深い。
他にも多くの記事が流れているが、どれも皮相的でしかない。
コダックの元幹部マットソンは、1979年に市場がどのようにフィルムからデジタルに切り替わるかに関する詳細な報告書を出していた。
彼の見通しは数年ずれているだけで「2010年までにデジタル化する」とかなり正確なものだった。(日本でデジカメの普及率が50%を超えたのは2006年。30年以上前の予想であることを考えると見事である。毎年暮れに当たらない予想を出している「専門家」に聞かせてやりたい。)
両社とも、デジタル写真そのものが大きな利益を生まないことに気付いていた。
しかし、コダックは、
「賢明なビジネスマンは、1ドルの売り上げで70セントの利益を稼ぐフィルム事業から、せいぜい5セントしか稼げないデジタル事業に急いで転換しないことがベストだ」
と結論づけ、変革を怠っていた。(ひとつのビジネスで市場を長期間独占した企業によくあるパターンです。)
まさしく「イノベーションのジレンマ」だなと思っていたら、ご本人のクリステンセンが登場。(さすがエコノミスト!)
(ビジネスマンの必携とも言える名著『イノベーションのジレンマ』。古今の大成功した企業が成功モデルに最適化し過ぎたために変化に対応出来ずに滅んでいくケースを分析している。)
デジタル化による変化を直面した時のコダックは、
「現れたのがあまりにも根本的に異なる技術だったため、その挑戦に立ち向かうために古い技術を使う術がなかった」
「津波が来るのを目の当たりにして、何も打つ手がない」
近い状態だったと解説する。
では、コダックは適切な対応をしていれば、この危機を乗り越えられたのか?
クリステンセンは、こう言う。
「それは非常に難しい問題だ。これほど大きな溝を横切らなければならなかった企業は、ほかに見たことがない。」
「名医」クリステンセンもさじを投げる状況だったようだ。
そう考えると、2000年に売上の6割を占めていたフィルム事業が、現在ほとんどゼロになっても収益を上げているフジの経営は奇跡としか思えない。
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