それを横より見ている心
刀の時代は終わって、鉄砲や大砲の時代になったのに、いかに折れずに切れる刀を求める人たち。
大砲の時代は終わって、航空機からの攻撃やミサイルの時代になったのに、大きな口径の大砲をいかに早く遠くまで飛ばすか熱い討論を戦わせている人たち。
モノを売る時代は終わって、それで何が変わるのかを提供する価値の時代になったのに、モノの性能や価格ばかりにこだわっている人たち。
この人たちに本当のことや正しいことを言おうものなら、とんでもないことになるだろう。
熱心に信じていればいるほど、ひどい目に遭うはずだ。
信じている価値を否定し、新しい価値を受け入れさせるのはかくも難しい。
そして、そんな様子を嘆息しつつ横から見ている傷だらけの自分がここにいる。
人がみな 同じ方角に向いて行く
それを横より見てゐる心
(石川啄木)
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