気分転換と原点回帰
ここ数年、運気が下降。
ついに今年は「ここまで来れば底だろう?」と思うレベルに到達。
じっとしていると気が滅入るだけなので、気分転換を兼ねて昼間にちょっといいものを食べに行った。
場所は、東京・蒲田駅前にある鉄板焼きの店。
かつて自分を今の道に導いてくれた上司が、「君はまだ若いからなかなかいいものを食べられないだろう?今日は僕がうまいものを食わせてやろう。」と連れて行ってくれたところである。
あの時はまだ20代前半で、本当にカネがなかったし、そういう店に行こうという気にもならない時代だった。
目の前の鉄板で肉や野菜を見事にさばいていく職人。
次々と運ばれてくる料理をほおばりながら、上司の話を聞いていた。
「これからはコンテンツ、マルチメディアの時代だ。」
「一社で単独でやる時代は終わった。これからは自分たちにないスキルやノウハウを持つところとどんどん握手していかなければならない時代になる。同業にこだわってはいけない。異業種とも組むくらいでないと。」
今でこそ当たり前の話だが、当時はまだバブルの余韻があり、「日本の製造業は世界一」の認識がふつうだった。しかもお固いメーカーにあって、このような視点を持って語る人は初めてであり、本気で動いていた唯一の人だった。それだけに強烈なインパクトがあった。
今でも異業種との連携は難しいというのに、あの時代にこれだけのことを言ってやってのけたのだから、炯眼恐るべしである。
直接の部下だった時期は、わずか2~3年だったと思う。
しかし、その後10数年以上ずっとその影響下にあって、今なお当時追い続けたものと同じものを追い続けている。
これまで様々なものを見て来たが、上司が語ってくれた通りの未来がここにある。
残念ながら、彼は数年前に亡くなってしまったので、もうこの先がどうなるか聞くことが出来ない。凡夫の自分には、先を見通す目はないが、せめて最前線のプレイヤーとして行く末を行けるところまで見届けたい。
そんなことを考えながら、あの日と同じように鉄板をさばく手つきをひとり眺めていた。
もう一度、自分の中の原点を確かめるために。
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