世の中、「萌え(もえ)」である。

(私がよく知っているアーティストのまいた ちひろさんが楽曲を提供している「プリキュア」も「萌え」らしい。)
「萌え」とは、いわゆるオタク系の人たちの間で使われる用語です。
三省堂「デイリー 新語辞典」によると、
もえ 【萌え】
(1)マンガ・アニメ・ゲームの少女キャラなどに,疑似恋愛的な好意を抱く様子。特に「おたく好み」の要素(猫耳・巫女(みこ)などの外見,ドジ・強気などの性格,幼馴染み・妹などの状況)への好意や,それを有するキャラクターへの好意をさす。対象への到達がかなわぬニュアンスもある。
〔語源は,アニメ作品のヒロイン名とする説,「燃える」の誤変換とする説など,諸説ある〕
→おたく
→萎え
(2)(1)が転じて,単に何かが好きな様子。または何かに熱中している様子。
→フェチ
→マニア
といった意味になるらしい。
使っている人たちは、そこまで厳密に定義付けをして使っているわけではない。
「何だかよくわからないけどいい。」
というような感じでしょうか。
この「何だかよくわからない」という部分が重要で、ここに含まれた意味は一様でなく、オタクそれぞれに深いこだわりがある。
いつから使われるようになったのか知らないが、私が知る限り、10年近く前には、存在していたように思う。
と、いうのは、当時、私は声優の三石 琴乃さんがパーソナリティを務めるラジオ番組にかかわっていて、100人近いリスナーを集めた公開録音で、
「もえもえ~♡」
の大合唱を聞いたことがあるからである。
その後、着実に「萌え」は、すっかり定着した観がある。
最近では、一昨年、 「萌える英単語もえたん」なる英単語集が発売され、ベストセラーになった。
東大生協では、堂々の売り上げ1位に。
この「もえたん」、「電話マニア―一冊まるごと裏マニュアル (2004)」みたいなハッキング本を出している出版社が出しているのも異質だが、硬いイメージの参考書に萌え系キャラだけでなく、オタク心をくすぐる例文を盛り込んだのも「画期的」であった。

ヒットの原因は、オタクの世界を英単語集という今までにない新しいフィールドに構築したことにある。
「もえたん」のヒット以来、「二番煎じ」が数多く出版されたが、本質を理解していない本が多過ぎる。
例えば、

(難しい法律をやさしく読み物としてはよいが、「萌え系キャラクター」を使っただけ。)
とか、

(これも同じ。萌え系キャラを使ってみただけ。)
あと、

や、

ところでしょうか。
「表面的な部分だけ便乗してみました」
という一番安易なパターン。
便乗と言えば、これなんかあまりにもストレート過ぎる「二番煎じ」。

(キャラの好みが合えば、買う人もいるのかな?)
まぁ、こちらは定番ですね。
何でもありです。
だって、「ネトラン」ですから。

アカデミックに分析してみたりはするものの、読んでみると、これも論点がズレた便乗本。
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おそらく出版社が、むりやりコジつけたタイトルではないかだろうか?
そう考えれば、論点のズレも理解できる。
「萌え論」ではなく、筆者の告白として読めば違和感はない。
本家本元の「もえたん」も負けてはいない。
「もえたん」に収録されている英単語は正直基本的なものばかりで、語彙の数も少なかったり、偏りもあり、大学受験には使えそうもなかった。
出版社もその辺のことを理解していたのだろう、これらの欠点をクリアした続編を出してきた。
その名も、
「moetan 2」
しかも上下巻2冊構成という増強版である。
出版社からの紹介文を見ると、
■2 moetan2の目的:防御から攻撃へ
2003年11月にリリースした初代「もえたん」は、いわば防御的な英単語集として企画されました。これはつまり、他の教科に比べて英語が苦手なユーザーに向けた、弱点克服型の参考書だったということです。
その正統な続編にあたる「moetan2」は、いわば攻撃的な単語集です。
単語の編纂にあたっては語彙と関連情報を大幅に増強し、より信頼性が高く、受験の中心利用に耐える内容を目指しました。また、ボキャブラリーを難関大学入試レベルまで拡大し、英語を武器にして勝負できるように各所を再設計しております。
弱点克服型の「防御的な英単語集」から、国公立大学・私立中堅~難関大学受験、TOIECにも対応した難関大学入試レベルまで拡大した「攻撃的な英単語集」に強化されているそうです。
前述の東大生協では、「moetan2」が平積みになっていたという証言もある。
再びベストセラーとなるか?
そして、ついには、旅行ガイドブックの老舗「るるぶ」にも「萌え」の波が広がってきた。
「もえるるぶ東京案内 ~史上最濃! やくにたつ萌え系ガイドブック~ 」

「るるぶ」といえば、「見『る』」「食べ『る』」「遊『ぶ』」をコンセプトに、あのJTBが出版している本。
JTBからの紹介文が、なかなか笑えます。
旅行ガイドのジェイティービーがガイドブック作りのノウハウを無駄に活用して、今までのるるぶではありえなかった店たちを紹介。でも、情報誌作りに精通しているからこそ、実用情報を厳選し、いつも通りまじめにつくってます。
...
そのうち、これを手にして東京を闊歩するオタクが出て来るのだろうか?
ダイヤモンドビッグ社の「地球の歩き方」は、韓国でも韓国語版が出版されている。

本編に対する特別編として、「地球の歩き方 日本 ~萌え~」というのも出るかもしれない。
例えば、これに対する、

これみたいに。

そうするとワールドワイドでオタクがやって来るかも知れない。
「萌え」なのは、書籍だけではない。
少し前に「萌えジャージ」が売られていたが、今は、「萌えTシャツ」が。

ゲームの世界は、言うまでもないが、ちょっとこれは...

司馬遼太郎ファンの自分としては、

名作「燃えよ剣」が、こういうふうに使われるとやるせない。
オタク市場は、半年ほど前に、「『オタク』の消費額は、北朝鮮の国防費の2倍!」の記事で紹介した通り、
・バナナの輸入額(651億円[2002年])の4.5倍。
・牛丼(2,359億円[2003年])市場ともほぼ等しい(1.23倍)。
・援助交際市場(502億円)の5.8倍。
とも言われる巨大市場。
これからも、続々と企業が参入し、あの手この手を使って来るのは間違いない。
次は、どんなものが出てくるのか楽しみではある。
最近ヒットした萌え系アニメは、「月詠」。
深夜に放送されていたらしいが、残念ながら一度も見たことがないが、ここに付けられたコメントにファンが「熱く萌える」様がわかると思います。
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ネコミミモード!

予想以上の音の良さ
ヒットした要素を分析すると、
・妹系(「おにいさま」なるフレーズが...)
・耳系(主題歌は、「ネコミミモード」)
・キバっ娘(吸血鬼だから)
といった感じか。
いま流行りの「妹系」だけでなく、幅広い層にミートするものが盛り込まれている。
売れる要素を全部盛り込めばいい訳でなく、それをやると前述の便乗本のような事態に陥る。
しかも総花的にならないよう、かつ計算されたいやらしさが感じられない微妙なバランスが大切である。
制作者が意図したのかどうかはわからないが、見事なマーケティング戦略である。
ご興味のある方は、近日DVD化されるそうなので、研究用としていかがでしょう?
「ミイラ取りがミイラにな」っても、私は責任を負いませんが。
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